2019年2月8日金曜日

雨漏りについて

         今回は雨漏りの補修についてです。
現在工事進行中のお客様のもとに工事前の御打合せで伺った際、
お部屋の中に雨漏りがするといったお話をお聞きしました。
早速、入念に調査をしてみると、問題と思われる箇所がいくつか
確認できました。
この写真では特に間だった異常はなさそうですが、

サーモグラフィーで撮影すると下地に水が廻っていることを示す
表面温度の変化が見られました。
〇で囲った部分には水を含んでいることを示しています。
こちらの写真も同じです
天井や壁にはかなりの水分の滞留が確認されます。


建物の雨漏りの調査と問題個所の特定とその補修には経験と丹念さが必要で、一つ一つその問題個所を特定し補修していかなければなりません。
 お客様はご自身でも雨漏りの補修のために工事をご依頼になったことがあったようでしたが、それでも雨漏りが収まらずお困りになっていました。
調査をしていくと、その原因がだんだんと分かってきました。
原因は大きく2つ。
増築の際に施工した部分んの止水処理と施工の問題が一つ
築年数の経過によって屋根にある排水溝の劣化と、止水処理の不備にありました。
調査時の各お客様のお家の屋根の状態です。


雨漏りの補修をされたお客様のお家の排水溝の補強は写真のような施工でした。
屋根から立ち上がっている波板にその上から改修ドレンというものを設置し、その上から防水を施工した状態です。
大工さんにこの部分を剥してもらい、施工を確認すると、すぐに問題が分かりました。
写真の白い部分が改修ドレンというものですがその施工法はしっかりしたものではなく、
単に上から張り付けてその上から防水をしただけのものでした。
散水調査を繰り返すと排水溝裏側からは写真のように簡単に水が浸入してきました。
 写真の丸の部分は改修ドレンを施工した際に使用した接着剤ですが、これは単なるシリコンで本来防水の際に改修ドレンを施工するために使用するものではありません。
これが元々設置されていた改修ドレンの裏側です。
接着剤としてシリコンが使われている事、その接着剤の施工方法もいい加減なものでした。
裏側は目視での調査が出来ないので専用の機器によって問題個所を特定していきます。
更に細かく調査をしていくと他の部分でも問題が確認されました。
 下地の木材は丸の部分のように水が廻る状態です。
幸い腐食は無いものの根本は水分を含み写真のような状態です。
お客様には細かく問題箇所のご説明と、この問題を解消するための方法を提案させて頂き
本来の改修ドレンの施工及び、防水による補修を施工させていただくことにしました。
こちらが新しい改修ドレンです。
 
改修ドレンと防水材を協力に密着させるために改修ドレンの裏側にプライマーを塗布します。 

建物側にも同じくプライマーを塗布していきます。
ハンマーでたたいて下地の形に合わせて形成していきます。
この形成が不十分だとすぐに剥がれたり空洞が出来て密着が悪くなります。
 改修ドレンの裏側に防水用のシール材を塗布し
建物側にも同じように防水材を塗布し
 更にたたいて脇から出てくる防水材を馴らし、隙間があれば防水材で埋めていきます。
改修ドレンの本来の設置方法です。
改修ドレンと設置物の間には本来は空洞や隙間が無い状態にすることが正しい施工法であり写真よような状態でなければなりません。
改修ドレン設置後の段差を無くし、水はけをよくするために専用の調整材で左官仕上げをして防水前の下地を作ります。


私たちのお仕事は単に見た目を綺麗にしたり、古いものから新しいものにお取替えしてお客様に喜んでいただくことではありません。
問題があればその問題を根気よく調査を繰り返して特定し、お客様の大切にされている建物や場所を、長く安心してお住まいになっていただくために見えなくなってしまう部分の施工をどれだけ入念に、細かく施工出来るかといった所にあると思います。

リフォームや塗装、雨漏りの補修など私たちのお仕事の評価が現れるのは
3年5年後、あるいは10年後になって始めて本当に分かってくるものです。
それだからこそ、施工をする側の私達には大きな責任があるのだと思っております。
今回のケースでも考えさせられることが多くありましたが、私たちは
本当にお客様に喜んでいただくためのお仕事が何かを
考え続けなければならないと改めて思いました。