2018年11月17日土曜日

サイディング塗膜及びコーキングの劣化と止水処理の問題について

今回は塗膜、コーキングの劣化と止水処理の不備によって起こる問題についてご紹介したいと思います。
 あるお客様からご相談を頂き、建物の調査、診断に行きました。
その際、1階リビングに雨漏りがあることを気にされていたため、
サーモグラフィー等による細かな診断をさせて頂きました。

1階リビングの様子です。
この日は晴れていて、見た目には特に大きな雨染みなどは確認されません。

説明を同じ箇所をサーモグラフィーで撮影すると上のような変化が見られます。
この日は外気温は高い日だったので、雨水の侵入などのよって水分を含んだ
下地は通常より高い温度となり、写真のような変化を示します。
二階の天井です。
〇で囲まれた部分は異常を表しており、下地に水分が含まれている状態です。
屋根裏ボード部分です。
同じように変化していますが、こちらはボード全体に水分が含まれた状態です。
防水層があるベランダ下のお部屋に雨漏りがある場合、防水に問題があると判断して、
防水を施工しなおせば雨漏りが解消できると考えがちで、お客様にもそのように提案して実際には雨漏りが解消せず、高額な工事費を請求されるということが良くあります。
サーモグラフィーで調査すると、防水層自体には特に異常は確認されません。

全体を細かく点検調査して行くと様々な問題個所が確認されました。
コーキング破断
屋根板金と付帯物との取合コーキングの劣化による穴
サイディングと屋根の間の穴


コーキングの未施工
コーキングの破断
コーキングの破断

こうした様々な問題個所から雨水がサイディングの下地に侵入したことが雨漏りの大きな原因となっていました。

この結果外壁の下地には多くの水分が滞留し、下地自体を腐食させ、
大掛かりな工事になってしまう場合があります。
サイディングの下地に水が廻った状態です。
お家にとって一番大事な土台が腐食してしまっています。

問題と考えられる部分を切開して腐食がどこまで進んでいるかを見極め
新規に下地の土台や胴縁などの木材の補修工事となります。
このお客様のお家ではベランダ部分からの水の侵入が多く、写真のように広範囲に水分の滞留部分が拡がっていました。
〇で囲んだ部分はこれまで一般的な施工業者である塗装、防水、内外部改修工事業者が見落としてきた雨漏りの大きな要因となっている問題個所です。
ベランダの笠木とサイディングの隙間です。


笠木スチールの被りが浅く、パッキンも施されていません。
手前は穴が確認されます。
こうした個所から吹き込む雨などがサイディングの下地に回り、雨漏り、
土台などの木材を腐食させていました。
こうした部分からも雨水が内部に侵入するため、入念な止水処理を施すことが
お客様のお家を長く守るために大切です。
これはベランダ手摺壁のサイディングと防水層の間にある水切りというものです。
水切りは万が一サイディング内部に水が浸入した際に、その部分から侵入した水を
外に逃がすための重要な役割をしているものです。
このため、一般的にサイディング最下部等の水切りとサイディングの間は二図を逃がすために空けておく必要があります。
ところが、このケースでは本来空けておかなければならない部分に不必要なコーキングが為されていました。

先ほど見た、防水層に問題が無いのに、防水層の下に雨漏りが発生するといった問題の大きな要因が、こういったものです。


私たち施工業者の役割は、単に見た目を美しく仕上げるということではありません。
信頼してご依頼下さったお客様のお家の問題を的確に把握し、その解消のために構造や日々新たになる施工技術を研究して、お客様のお家を如何に長く守ってあげるための提案と施工をすることにあると考えております。

今後も私たちは様々な問題を研究し、経験を重ね、お客様のお家を一番長く守ってあげられる業者となるために日々努力を重ねてまいります。